
「竹籠で綴る人工透析の歳月」
著者の山野恵美子さんは23年間人工透析を受けながら竹工芸をライフワークとして作品を作り続けてきた。今も週3回の透析を受けながら月に1回自宅で教室を開き数人の仲間と竹籠作りを楽しんでいる。「昨秋古希を迎えたので、人工透析を続けながらも竹工芸を支えに生きてこられた証を何かの形で残したいと思いました。作品展とも考えたのですが、友達から贈られた絵画集を見て、こういう残し方もいいなと思いおもいきって作品集を作ることにしました。でも、素人の作品ですし、写真は夫に撮ってもらい私らしいものにしたかった」という山野さん。
紫竹の衝立や行灯、網代の文籠や花籠など53点の竹工芸とともにその時々の思い出や作品への思いがさりげなくつづられた作品集は山野さんが病気と共に歩んだ歴史が行間に滲む。
出版後150通以上の手紙が届き、反響は予想を超えるものだった。
「作品を見てもらおうなどという気負いは全くなかったので、読んだ方から感動したという沢山のお手紙をいただいて私の方が感動してしまいました。」