
「温故文訪」
著者 阪上正信
発行日 2002年8月20日
B5判 並製本
永きにわたり大学で教鞭をとっていた阪上正信教授が、定年退職後、空海の88カ所の道を巡りつつ、南国土佐へ旅に出た時に出会ったのが宮尾登美子さんの自伝的小説「櫂」。それをきっかけに宮尾文学に記された丹念緻密な土佐の各地を訪ねたい…と思い立ち奥さんと共に旅に出て、写真を撮り資料を集めた。その記録を一冊の本にまとめた。
前書きには、宮尾登美子さんが著者にあてた手紙を引用。本文には、宮尾氏の自伝的連作に現れる各地を分類し、建物、自然…所々には昔日の写真などを入れて編集。表紙はあさひ高速印刷のデザインで、宮尾文学をイメージし和風の用紙をベースに紫色が効いたモダンな仕上がり。モノクロページはマスター印刷、カラーページはオフセット印刷という方法で作られた本書は、本文と写真ページは著者自らワープロで打ち版下を作成した為、コストも抑えられている。
「これを手にする方々にとっては、本書が宮尾さんの味わい深い文を伴う旅のよきガイドブックとなり、またこれが契機となって改めて宮尾さんの諸作品の全文にもどり、それらに込められたロマンを深く味わわれるのも良いことに思える」とあとがきに込められた阪上氏の思いが伝わる一冊。