
「愛のバランスシート」
発行 2003年4月29日
著者 前畑妙子
四六判 上製本 408頁
タイトルは5編の中の1編「愛のバランスシート」。12年も前に書いた作品だそうだが今の時代を予測したような家族関係が描かれ少しも古くはない。前畑さんには時代を読む目が備わっているのだろう。そうでなければ小説は書けないのかもしれない。中に収められている「ピエロのマーチ」という主婦業からの解放願望を喜劇的に描いた短編は仕上げ半ばで亡くなった三田純市氏が「面白い」とほめてくれた作品。ハードカバーの表紙は優しいイメージの春の野原。408 ページの力作である。
「まだ、書きためたエッセイや短編がたくさんあるので今、孫にパソコンを習いながら原稿を打ち込んでいるところなんです。時間は掛かりそうですが、できればこれも1冊にまとめたいですね」。その中には4歳から飼いだした愛猫のエッセイ22編も含まれている。