
健康だから輝いている
発行日:令和3年12月4日
著 者:小谷一郎 米澤清和 香川正之
編集協力:櫻井 一
発行所:あさひ高速印刷㈱出版部
発行者:岡 達也
印刷製本:あさひ高速印刷株式会社
A4判 上製本 236ページ オールカラー
咬合の専門医である小谷氏、米澤氏と矯正専門医の香川氏が執筆した「健康だから輝いている」が昨年12月に出版された。
健康寿命が注目される現代において歯の健康に大きな関心が寄せられている。本書は身体の一部として歯をとらえなおした貴重な一冊である。
全人的歯科医療との出会いから実践までを紹介
1967年から約半世紀にわたり咬み合せ専門医として歯科医療に携わってきた小谷氏を中心に執筆された「健康だから輝いている」。長寿社会にあって健康寿命を延ばすためには歯の健康が必須であると、序章で本書を書くきっかけが述べられている。
小谷氏が大学卒業後、大阪大学歯学部の補綴科(義歯専門)に臨床医として入局したころは予防医学の考え方はなく、悪い歯を抜いては義歯を入れる歯科治療に疑問を感じたといい、訪米し全人的歯科医療を提唱、実践しているDrパンキーの歯科医研修所を訪ね、歯科医療に対する考え方が180度変化したことが記されている。患者との対話を重視し、共に治療や予防を行っていくという歯科におけるパンキー哲学が全人的歯科医療の根底となっていることがわかる。本書にはその理論と実践が写真や図解で詳しく解説されているので、予防医学を知る上でも貴重な出版になっている。高齢者にとって避けて通ることができない、フレイルという身体的虚弱に関する考え方も第二章オーラル・フレイルで紹介。正常な咬合の大切さについては「咀嚼」の意味や「不定愁訴」「顎関節」の治療などが詳しく書かれている。歯並びに関しては子どものころの歯に対する保護者の意識の重要性が説かれ興味深い。予防医学への関心が高まる中、時を得た出版といえるだろう。
高齢者がイキイキと輝いている明るい表紙にも、著者の熱い思いが込められているように思える。